分かりやすさと、現実

職場にNHKスペシャルの取材が来た。


マッドサイエンチストとして説明責任というものがあるので、なるべく誰にでも分かりやすく話さなければならないと思う反面、テレビ的な分かりやすいストーリーと科学的厳密さの間で板挟み。


やっぱりウソは言えない。しかし、難解な言葉をグニュグニュビチョビチョ話すのは最低だと思う。


簡単に解ることなら研究なんて必要ねーよというのも事実だが、アカウンタビリティを投げ出す訳にはいかない。


(以下ループ&ループは略)


どっかで線を引くしか無いのだろう。円周率だいたい3は論外でも、3.14ならアリということ。無理数の概念について語るのは、ここでは止めておけっつー。


こーゆー話は全く単純な方で、世の物事は常にもっと複雑怪奇で多面的だ。そーゆー現実についての情報が、マスであるかないかに関わらず、メディアを通じて伝わるとき、如何に単純化され、現実と乖離したものになることか。それは仕方の無いことで、今更言うまでもなく当たり前のことでもあるが、毎日思い返さなければならないんじゃないか。簡単に解った気分になる自分を常々戒めねば。改めてそんなことを想った。


それはともかく。俺の説明してる場面は放映されないと思う。というか、しないでくれー。声、うわずってた。裏声出すかと思った。


昔はいつも緊張の余り、発表OHPを持つ手が震えてしまって、ホワイトスクリーン上に手の影が拡大されてプルプルしてたもんだ(笑)。その頃に較べりゃ、だいぶマシにはなったが、人前に立つと緊張しぃなのは相変わらず。ま、アガリ症もここまで来ると、生涯の友。一緒に反省会と称して今宵は飲んだくれよう。