先週読んだ漫画

残酷な神が支配する 文庫版全10巻


なにぶん長い間漫画を読んできたので、普通の漫画喫茶のポピュラーな品揃えでは、未読で面白そうな少年・青年漫画がなかなか無い。長編だと特にそう。その点、少女漫画はまだまだ未読の名作があるので、最近はそっち系を読むことが多い。


残酷な神が支配する』は大御所・萩尾望都が93〜01年ごろに連載していた作品。継父による少年への性虐待から始まる、ある悲しみの物語。


最初のうちは、やや強引な展開で、もうやめてくれ〜!ぎょわいよ〜(泣)という話が続き、一瞬霧は晴れたかのようにみえるも、いつのまにかさらに深い森へと迷い込んでいくような感覚に襲われる。その漫画力は充実の一語。


性的虐待について、簡単に分かったようなフリをしてはいけないと思う。けれども、萩尾望都はきちんと勉強した上でこれを描いているのが、そこかしこに見て取れる。そこら辺のボーイズラブものとは根本的に異なる。


だからこそ、ハッピーエンドを許さなかったのだろう。お手軽な救済など無い。それでも、タナトスの虜にさえならなければ、他の全てはどうでもいいことなんではなかろーか。


タイトルは、W.B.イェイツの一節から。『残酷な神』とは、自己破壊・自殺・死を意味するそうな。