どうなんのかねぇ


このニュース、マジで?


ちょっち解説すると、これは核融合燃料の話。今現在研究で使われている重水素トリチウムでは、将来的に実用化されたとしても、中性子による炉材の放射化が避けられないし、とにかくトリチウムというのがヤバい物質なので問題なんですよね。しかし、ヘリウム3を使えば、それらはかなり解決されます。その分、より反応が高温になるという別の問題も発生しちゃうんですけど・・・。


核融合に必要な高温ってのは半端じゃなくて、現在研究中のレベルでも約1億度ですからねー。いわゆる超高温プラズマ状態です。そんな状況に耐えられる材料など宇宙に存在しないので、如何にプラズマが浮いた状態で磁気的に閉じ込めるかということになりますが、これがまた超難しい。地道に研究され続けたものの、年月が経つにつれ、実用化に必要とされる年月もさらに増してきたという歴史があります。今現在、50年後に実用化ということで皆さん頑張っておられるようですが、「50年後には『100年後に実用化』と言っているだろう。」というジョークさえあります。本当にそうなりそーなので、笑っていいのかよく分かりません。


それはさておき、核融合発電が可能になったとき、ヘリウム3が数トンあれば、日本の1年間の電力消費量を賄えるそうな。ただし残念ながら、地球上には殆どヘリウム3は存在しないんですねー。一方、月の表面にはたくさんある*1。100万トンの月の砂を600℃に加熱すれば、10トンくらい集められるとのこと。1000万トン/365日=毎日2740トンですか。なんだか、海水1立方メートルには0.1mgの金が溶け込んでいるから、それを集めれば大金持ちになれるぞ!っていう笑い話みたいですねぇ*2


その一方で、レーザー核融合という方法があって、日本だと阪大の研究所が有名です。20年以上前からある方法なので、理系の人なら聞いたことがあるでしょう。立花隆曰く(1, 2, 3)、アメリカではレーザー核融合で点火の一歩手前まで進んでいるらしい。まぁホントのところは僕には分かりませんし、こーゆー慣性核融合にしても、発生する中性子トリチウムはどうすんのよ?とか、どうやってエネルギーを取り出すんだ?って問題はあります。


まー、そーゆー背景があって、ロシアのニュースにビックリしたワケです。


本気で核融合の燃料集めるつもりなんすかねー? それは何年後に使うことを想定してるんだ? 石油や天然ガスの埋蔵量も、人によって数十年〜無尽蔵まで諸説ありますが、ほんとのとこどうなのよ?という話も絡んでくるし、月まで行って商業的に核融合発電が成り立つのかよ!?とか、ロシア政府がどれだけ本腰なのかとか考えたり、実際に月面上で作業するMOON LIGHT MILEみたいな状況を想像すると、なかなか面白いですなー。


あ、僕の仕事とは全然関係ないっすよ。野次馬的興味を持ってるだけです。やっぱり核融合は夢の技術ですからねー。

*1:木星にはヘリウム3がさらに大量にあるので、パプテマス・シロッコが運び屋してます。

*2:海水中からの金の抽出は、昔も今も本気で考えている人がいますが、それにかける時間と労力を考えると、そこらへんでアルバイトでもした方が稼げます。ただし、金の材料としての利用が増大して、陸上の金脈が枯渇した場合には、必要になるかもですねー。遠い未来には、昆布かなにかを遺伝子操作して、海水中の金を選択的に取り込むようにさせて、濃化してから集めるなんてことになるのかな?