Berlin The Downfall 1945

kumojuza2006-05-07

ベルリン陥落 1945』を読了。3ヶ月近く前に買ったのだが、ベルリンに来てから読もうと思っていてとっておいた本だ。4月末にこちらに届いたので、のんびり読んでいた。


多くの文献を引用しながら、政治・軍・一般市民を含めた戦争末期の全体像を描き出そうとしている。そういう意味では、戦争現場のディテールに拘るようなドイツ軍マニアなどにはあまり面白くないかもしれない。


こちらの地理に明るくなってから読んだので、異様に迫力があった。砲火の嵐と瓦礫の山、混乱と飢餓、掠奪とレイプ。ここにいるドイツ人達の親や祖父母の世代が、あの地域で、あの森で、あの橋で、あの通りで、あの建物で・・・と思うと、かなりヘビーだ。


ドイツ民族の優秀性を標榜し、ボリシェビキの根絶を叫んで東方へ攻め込んだナチスが、結果として東ヨーロッパを共産化し、13世紀からドイツ人の支配した東プロイセンからドイツ人がほぼ完全に追放されるという事態を招いたのは、なんと皮肉なことだろうか。