愚痴

既に4年の間に言われてきたことばかりで、今更ネガティブなことを書く意味があるのかどうかとも思ったが、やはり自分なりに統括して区切りをつけたい。我ながら嫌な文章なので、折りたたんでおきます。




W杯本戦に関して言えば、10段階くらいあった想定範囲内のうち、上から6つ目くらいの出来で、決して最悪の結果ではなかった。むしろ、戦術も無ければ、戦略も無いジーコジャパンとしては、よくやった方ではないかとすら思う。


オーストラリア戦の最後の6分間が無ければ、日本がGL突破していたかもしれない。引き分けでも3カ国が勝点2で並ぶところだった。もちろん、こんな仮定の話は無意味だし、事はそんなに単純ではない。ただ、あの6分間の失点が1であれば、まったく違ったグループリーグの展開になっていたことは確かだ。


2試合とも、勝つ可能性はあった。しかしそれでも、内容的には勝点1は上出来と言えてしまうチーム力の差が明らかに存在した。なんともやりきれないのは、全てをやりつくした上での差だったとは思えないからだ。


たとえばオーストラリアがパワープレイに来ることは誰もが予想していたのに、それに対してチームとしての対処策は練っていたのか。真夏の日差しを受ける時間帯に試合することは、とうの昔に分かっていたはずだが、具体的に暑さ対策を考えていたのだろうか。厳しい大会では、累積や赤紙、怪我などでベストメンバーを組めない場合は必ずある。そのことを少しでも考えて、これまでの試合を有効に使ってきたのか。


振り返れば、戦略的強化を行わないことが当然になっていたことに、改めて腹が立つ。


本当に具体的な方策は何も無かった。守備練習はまったく選手任せということが明らかになったとき、やっぱりな・・・と呆れたサポが多かったんじゃないだろうか。「教えられるものではなく、経験するしかない」と言われても、もう何も感じられなくなっていた。「それなら監督は必要ねーな」と毎度のツッコミを入れることすら、うんざりしていた。


トルシエの教科書とやらも、大風呂敷の割には薄っぺらいものだったけど、ジーコにはチームをオーガナイズするための具体的方策は、そもそも殆どなかった。ジーコにプロフェッショナル精神を説かせるのであれば、テクニカルアドバイザーにでも飾っておけば良かった。精神論は、すべての方策を尽くした上で、初めて有効になってくるものだろう。精神だけでは勝てるわけがない。


選手の話し合いは、もちろん歓迎するけれど、それだけで強いチームが出来るのであれば、どこのチームも監督など置かない。結果として、選手として日本人からも尊敬を集めたジーコは、監督として多くの人から叩かれ、多くの選手達のピーク時期は失われた。


自由で美しいサッカー? 公式戦では弱小国相手にも、そんなサッカーを見せたことは一度も無かった。2000年のアジア杯の痺れるような強さと美しさは、この4年間の真剣勝負で見たことはなかった。ジーコジャパンは行き当たりばったりの迷走を繰り広げ、公式戦では弱小国相手に青息吐息でなんとか勝ち、親善試合で強豪国相手にいい試合をして、浮かれていただけだった。


結局、ジーコジャパンは何も新しく積み上げたものは無く、ひたすら日本の蓄えた才能と経験を浪費しただけだった。そりゃ世界のレベルからすればヒヨッコだけど、日本にとっては希有な選手達がピークを迎える大会になるはずの今大会に、4〜6年前の僕らは本当に大きな期待をかけていた。


どうしてそんな監督に1億8000万円もの年俸を支払わなければならなかったのか、さっぱりわからねぇ。しかも税金逃れのために、毎年半年以上は海外に逃げて、ろくにJリーグの試合も観に来ず、新戦力の発掘なんぞ興味なさげだった。


シンガポールオマーン、ヨルダン、バーレーン北朝鮮といった相手にグダグダの試合を繰り広げ、どうにかこうにか最小得失点差の勝利を挙げていたのがジーコジャパンだ。たまにそういうことがあるならば分かるが、あまりに多すぎた。自分で書いていて悔しいが、そんな相手にいつも苦戦している国がW杯で勝ち上がれると思う方が思い上がりだろう。


これからの4年間、新アジアの5強(オーストラリア、イラン、韓国、サウジ)内で、かなり高い確率で勝利できるくらいでないと、W杯でコンスタントにGLを突破できるわけがないのだと肝に命じよう。アジアの強豪国が、W杯の最低レベルなのだから。アテネ世代以降の選手にとっては、正直、過酷すぎる要求かもしれないが、それを常に求めていかなければ、代表は強くならない。アジア予選は独特の難しさがあるなどと言っていては、絶対に進歩はない。弱小国であろうと引いて守る相手は常にやっかいだが、アジアレベルの守備を粉砕できないようでは、強豪国相手に通用するわけがない。


そして、ホームでの親善試合ではなく、なるべく多く、アウェイで強豪国との試合を組むこと。キングスカップ、ハッサン2世杯への参加。あるいはコパアメリカにまた参加させてもらうべく頼み込むか、2002年の韓国のようにゴールドカップに参加させて貰うのもいい。本気で強化を考えるならば、日本サッカー協会は積極的に動くべきだ。国内で時差ボケ2〜3軍クラスを相手に親善試合をしても、強化にはならない。電通やキリンの都合よりも、代表にリアルファイトの場を与えて欲しい。ぬるま湯で甘やかしては、徐々に後退していくだけだ。


次の監督が誰になるかは分からないが、オシムだろうと誰であろうと、1年間は様子を見るつもりでいる。トルシエや、ジーコの就任時もそうだった。たとえ素人監督が就任しようとも、1年間は我慢する。それが大当たりってこともサッカーではあるから。逆に、どんなに実績と経験がある監督がなったとしても、最初から手放しで崇め奉ることはあり得ない。偉大な監督達も、チームによっては肌が合わずに成果を残せないことが、しばしばあるからだ。とにかく、1年間は、新監督の意図を生暖かく見守ろう。


まぁしかし、楽観はしている。別に素晴らしい監督を求めているわけじゃない。まともな監督さえいてくれれば、この4年間のようなモヤモヤは感じなくて済むだろう。求めているのは、明確なプランだ。たとえ直接言葉で示されなくとも、戦い方に意図を感じさせてくれれば、この4年よりは、はるかにマシになるはずだ。


また誇れる代表が戻ってくることを願って。