B・J
秋田書店には相当頭のおかしい洒落の分かる編集者がいるようです。
ヤングチャンピオンで手塚治虫の不朽の名作『ブラックジャック』を、色んな漫画家がリメイクするという『ブラックジャックALIVE』なる面白企画が進行中*1。
そのリメイクする作家の陣容が傾(かぶ)いています。『エロイカより愛を込めて』の青池保子、『バトル・ロワイヤル』の田口雅之、『軽井沢シンドローム』のたがみよしひさ、『ハゲしいな桜井くん』の高倉あつこ、『本気!』の立原あゆみ、『猿ロック』の芹沢直樹、『恋愛ジャンキー』の葉月京(百済内創)、『新選組黙示録』の乾良彦、『サトラレ』の佐藤マコトと、玉石混合支離滅裂右往左往な作家セレクション。
中でも、青池版・立原版は、それぞれ例の独特な絵柄で描かれているので、B・Jの顔を見ただけで思わず吹き出してしまいましたですよ・・・。いくら元絵に似せてはリメイクの意味がないと言え、ここまでくると一発ギャグの世界です。乾良彦版では、未来の原因不明の病気で全滅寸前の宇宙ステーション内で、クローン技術によってB・Jが蘇るんですが、クローンB・Jが元の記憶を持っているわ、後天的なはずの顔の傷まで復元されているわというトンデモ振り。しかも、それだけの科学技術を持つ未来人女性医師が、謎の病気を究明してくれなんて無茶なことを言ってきます。さらに、勝手に人の命を作るような真似をしておきながら、「私だけ脱出なんてできない!」などと急にヒューマニズムに目覚めたような事を言われましても・・・。短編にこれだけ突っ込みどころを満載できるとは、別の意味で脱帽です。
そして今回ブラックジャックを描いたのは『釣りバカ日誌』の北見けんいち。・・・いやはや、脱力しました。絵もグダグダならストーリーもグダグダ。B・Jに対するリスペクトが全く感じられません。何なのでしょう?一体。漫画の神様こと手塚治虫が怒り狂って天罰を下さないか心配です。でも、そんなトコロが、この企画のいいところ。こーゆー企画するなら、このくらいアグレッシブじゃなくちゃイカンですよ。うむ。
次回は、『そばっかす』『おせん』のきくち正太の予定。さらに4月に出る増刊号では、これまで載った作品を収録すると同時に、なんと永井豪がB・Jを描き下ろすらしいですよ! あわわわわ。『デビルマン』的シリアス系?それとも『ハレンチ学園』的ナンセンス系なんでしょうか。どうなるんだ一体!!*2